オーロラについて

閲覧ありがとうございます。伊藤の備忘録です。

本日はオーロラについて、お話ししていこうと思います。皆様は空に想いを馳せることはありますか?日本には四季があり、その季節ごとに顔色を変え、僕たちを魅了してくれます。僕は冬の朝、6時半ごろの澄んだ空と始まりを告げるオレンジの太陽が姿を表す瞬間が好きです。また、仕事終わりに「おつかれさま」と声をかけてくれているような、仄暗い空に沈む夕日も好きです。たくさんの顔を持つ空。その中に、オーロラというものがあります。オーロラは太陽光と地球の磁場が織りなす奇跡のカーテンです。初めてその姿を見た時に僕は言葉を失いました。本日はオーロラについて皆様に伝えていけたらと思っています。

皆様もご存知の通り、オーロラは日本ではほとんど見ることができません。地球は北極をS極、南極をN極とした、大きな磁石のような仕組みになっています。日本は世界地図でも表記の通り、その両局の真ん中あたりに位置しています。磁石の力が強い北極や南極にプラズマと呼ばれる電気の粒が集まり、空気の粒と衝突することで発光してオーロラが発生するため、磁石の力が弱い日本ではなかなか見られないということです。オーロラはオーロラベルトと呼ばれる磁力の強い帯状の地域で見ることができます。一般的には、地域にもよりますが、8月から翌年の4月頃がシーズンと言われています。

僕が初めてオーロラを見たのは、ワーキングホリデーでカナダに留学していた時でした。カナダを離れる最後の4日間、イエローナイフでオーロラを見てから日本に帰ろうと思いました。しかし僕が日本に帰る8月はオーロラを見るベストシーズンではなかったため、ツアーを開催している会社が一つもありませんでした。半ば諦めていた僕ですが、ダメ元で自力で見てやろうとイエローナイフへの旅を決意しました。航空券を購入し、レンタカーと4日間の宿をAirbnbで予約しました。Airbnbでコテージを貸してくれる宿主さんに、オーロラ見れますか?と尋ねたところ、やはり時期ではないと一蹴されてしまいました。そんな話を語学学校で仲良くなった友人たちに話すと、じゃあ一緒に行ってオーロラ見れなくても楽しい旅にしようよと言ってくれました。元々一人でイエローナイフに行く予定でしたので、旅の仲間ができたことが本当に嬉しくて、この人たちを楽しませるために僕ができることを精一杯しようと思うようになりました。それから旅の日までオーロラとイエローナイフについて、知り得るネットの情報を片っ端からかき集めました。時期ではなくても、出来る限りの努力をして、もし共にオーロラを見ることができたら、僕が生きてきた中で1番の思い出になる。そう信じて、インターネットの波を泳ぎ続けました。

旅の当日、2ヶ月間お世話になったホストファミリーのママに最後の別れを告げました。ママは僕のタクシーが見えなくなるまで手を振り続けてくれ、その姿に大人ながら涙が出ました。ママから、あなたの言っていることが理解できない。と言われたことや、洗濯機の使い方で怒られたこと、僕が出かける日には必ずランチボックスを持たせてくれたこと、語学学校最後の日のスピーチを私に聞かせてと言ってくれたこと。あのお家で過ごした様々な思い出がフィルムのように再生されました。本当にお世話になりました。

僕が住んでいたオタワからイエローナイフまでは、カルガリーを経由して約8時間のフライトでした。しかし、経由するカルガリー空港でアクシデントが発生しました。予定ではカルガリー空港でのトランジットは30分ほどで、乗り換えるには十分な時間がありましたが、カルガリー空港に到着した時刻が次の飛行機が離陸する10分前という、ギリギリになってしまいました。次の飛行機のターミナルまで僕と友人は直走りました。若い彼は、僕の荷物を持ってくれ、離陸5分前にターミナルに到着しましたが、グランドスタッフにもう搭乗できません。と言われ、その場に崩れ落ちました。飛行機の前の方に座っていた友人2人はギリギリ間に合ったようで、先に乗っているという連絡をただただ見つめるばかり。僕らのキャリーケースは飛行機の中。次の便は時刻表にもなく、頭が真っ白になりました。飛行機に乗れなかったことを友人に連絡すると、乗れていたはずの友人も、みんなでいなきゃ旅の意味がないと、その便を見送って帰ってきてくれました。ネガティブ思考な僕は、そもそもオーロラが見れるかわからないこの旅でのアクシデントに、心を打ちのめされました。おそらく1人だったら、カルガリーから日本に直接帰っていたことでしょう。しかし友人たちは諦めませんでした。僕が放心している間にグランドスタッフに掛け合ってくれ、次の便のチケットを手配してくれました。8時間後の次の飛行機のチケットを僕に渡しながら、予定通りなんて行かないから面白いよね、と僕を励ましてくれました。この人たちのポジティブと行動力には敵わないし、何度助けてもらったんだろう。自分の不器用さを呪いながら、僕なりに自分を鼓舞しました。

なんとか友人に励まされて、立ち直った僕は8時間を有意義に過ごしてやろう、と韓国人の友人とビールを飲みました。彼は日本が好きな韓国人で、初めて語学学校で会った日に日本語で「光の速度で蹴られたことはあるかい?」と僕に尋ねてきたアニメを愛する22歳でした。彼はカナダにある叔父さんのお家に居候しており、語学学校の帰り道が一緒で、よく同じバスで帰った仲でした。バスの中で英語を教えてもらい、彼の好きな子の話をして仲良くなったことを今でも鮮やかに覚えています。彼ともこの旅を終えたら、もう容易には会えなくなるんだなあと、この2ヶ月間を愛おしく考えました。

イエローナイフに着いたのはそれから2時間飛行機に乗った後、時刻は23時ごろでした。同じカナダ国内でも、オタワとイエローナイフでは2時間の時差があり、少し混乱しました。到着したイエローナイフは8月なのに肌寒く、しかし夕日が映える自然豊かな街でした。事前に調べておいたArctic Rangeというオーロラ天気予報によると、初日のオーロラ活動が著しく、僕たちはご飯を食べてすぐに宿の裏の湖に向かいました。イエローナイフの夜の1時は、太陽が沈みきっておらず、ずっと夕方18時のような黄昏の空模様でした。きっとオーロラが見られる。そう信じて4時間ほど湖のほとりを4人で練り歩きましたが、その日はオーロラが現れることがありませんでした。滞在する中で、オーロラの活動が最も強かったその日に見ることができなかったことに、僕は焦りを感じました。軽い睡眠をとり、翌昼レンタカーを借りました。どうやら、ダウンタウンの明かりが強いため、宿周辺ではオーロラは見られないとの情報を知り得ました。夜のオーロラに備えて、昼間はNetflixでジブリ映画を見たり韓国ドラマを見たり、ゆっくりとした時間を過ごしました。中でも思い出深いのは、3日目にレンタカーでスーパーに買い出しに行き、カレーを作ったことです。イエローナイフのスーパーには日本でも馴染みのある調味料がたくさん売られていました。ホームアローンのケビン君が食べているようなアイスや、日本で見たことがないソーセージなども売られており、改めて異国の地に来たことを実感させられました。4人で囲んだ食卓は、とても印象深いです。まるで家族のようなひと時でした。こんな時間がいつまでも続いてほしいと、子どものような気持ちになりました。

インターネットで情報収集をしていると、宿から30キロほど離れた湖にオーロラスポットがあると知りました。2日目の夜、その日はオーロラ活動は強くはないものの、天気が良ければ可能性はあるとのこと。不安と期待を抱き23時にレンタカーを走らせ、その湖に向かいました。湖のほとりには小型船の係留場があり、そこでオーロラを待ちました。8月とはいえ、気温は10℃前後。上着を着ないと長くはいられないような環境なのに、蚊が耳元を掠める音が終始していました。空には雲一つなく、数多の星が自己主張するように各々輝いているのに、太陽は沈みきっていない、なんとも不思議な空間でした。黄昏時。人ならざるものに出会うかもしれない。いつか見た映画のワンシーンを思い出すとともに、僕は奇跡に縋りました。そして、その時は訪れました。南の空にぼやっと雲のような、でも雲とは違う動くそれを。ネットの情報では、肉眼よりも、スマートフォンのカメラの方が確認しやすいとのことでしたので、怪しがる不安と期待に身を委ねて、それを写しました。やがてそれは、自分の目でもはっきりとわかる光に変わり、ゆらゆらと僕たちの頭の上を覆う緑色のカーテンとなりました。言葉を失いました。夢が叶いました。そこにいた4人全員が空に夢中になりました。首が痛くても、空を見上げ続けました。オーロラを見続けて2時間もした頃、ようやく僕らは宿に帰ることにしましたが、やはり余韻に浸り、帰りの車の中では各々撮った写真を共有して、記憶にも記録にも残しました。僕1人だったら辿りつかなかったなあと、オーロラを見るまでの軌跡について思い耽りました。皆にイエローナイフの話をしていなかったら、カルガリーで1人だったら、そもそも1人でイエローナイフに来ていたら、全てのことが奇跡なのに、イエローナイフでオーロラを見ることが決まっていたかのような導きに、鳥肌が立ちました。そして、4日間が過ぎ、僕のカナダ生活が終わりを迎えました。イエローナイフで4人で過ごした4日間は僕の人生を語る上で、外せない時間になりました。

ここで僕なりにオーロラについて、記したいと思います。まず、天気にもよりますが4日あれば1度はオーロラが見れると思います。時期が外れた8月の頭に2度見ることができたので、シーズン9月から3月ならオーロラ出現の可能性はかなり高いと思います。5泊くらいの日程が組めれば1度は見られると思います。(天気が良ければですが)

レンタカーが借りられれば、ツアーに参加しなくてもオーロラは見られると思います。イエローナイフには湖がたくさんあり、ダウンタウンから離れた湖に行けば、かなりの確率でオーロラが見られると思います。ただ、ツアーにはオーロラ観測体験のほか、犬ゾリ体験ができたり、ホテルとツアーがセットになっていたりと、ツアーに参加しなくては体験できないことがたくさんあり、かなりお得だと思います。僕は当時、ツアーがあるならそちらに参加したいと思っていましたから、シーズン中に行かれる方はぜひ、ツアーに参加してオーロラ鑑賞以外の体験ができたらと思います。

オーロラはカメラに映すとよく見えます。オーロラ観測点に行った際、オーロラかな?と思ったらスマホのカメラ越しに見てみることをお勧めします。

オーロラを通して、僕は奇跡の体験ができたと思っています。もちろん生のオーロラは本当に美しく言葉で表すには、僕のボキャブラリーではお粗末です。しかし、それ以上にオーロラの情報収集や、イエローナイフで仲間と過ごした時間、アクシデントなどが愛おしく感じました。もし僕に家族ができたならば、この美しい景色を共有したいと心から思いました。オーロラは日本ではなかなかみることができないものです。思い切って旅行をしてみようと思っている方には、ぜひお勧めさせていただきたい目的地の一つです。空に思いを馳せ、首が痛くなるまで空のカーテンをご覧になってみてはいかがでしょうか。

2025/3/8

イエローナイフでの一枚

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